ランドセル症候群とは?甘えじゃない理由・原因・対策を元教員が徹底解説

ランドセル症候群とは?重いランドセルを背負い困った表情で歩く男の子 ランドセル選びの新常識
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「ランドセルが重い」「肩が痛い」と子どもが言うたびに、「これって甘えじゃないの?」「自分が子どものときは…」と思ってしまったことはありませんか?

この記事では、元小学校教諭として約10年間教室で子どもたちを見てきた私が、以下についてわかりやすく解説します。

  • ランドセル症候群とは何か
  • 「重い」は甘えではない理由
  • 荷物が重くなっている4つの原因
  • ランドセル症候群のチェックリスト
  • 今日からできる3つの対策

わが子の「重い」「肩が痛い」というサインを見逃さず、適切な対策を取りたい方はぜひ参考にしてください!

「ランドセル症候群」とは?

重いランドセルを背負い困った表情の男の子

「ランドセル症候群」とは、体に合わない重さや大きさのランドセルを長時間背負って通学することで、子どもの心と体に不調が現れる状態を表す言葉です。

医学的な診断名ではありませんが、重いカバンによって心身に不調が出る現象を指す言葉として広く使われています。

結論!!「ランドセルが重い」は甘えではない

「ランドセル重い」と子ども達が訴えるのは、甘えではありません。

ランドセルの重さは増加傾向にあり、子どもたちの体の不調が世間的にも取り上げられるようになり「ランドセル症候群」という言葉が聞かれるようになってきました。

文部科学省もこのことを懸念して「置き勉」を推奨する文書を通達しています。学用品を手がけるフットマーク社による実態調査(2022年)も行われ、小学生の3.5人に1人が「ランドセル症候群」が懸念されるという結果が出ています。

「ランドセルが重い」という子どもたちの声は、甘えとして片づけてはならない事実なのです。

文部科学省も認めた「置き勉」の推進

文部科学省もランドセル症候群について重く受け止め、平成30年9月には全国の教育委員会に「置き勉」の推進を通達しています。

文部科学省通達文の一部抜粋▼

【日常的な教材や学習用具等について】

 〇 宿題で使用する教材等を明示することにより、家庭学習で使用する予定のない教材 等について、児童生徒の机の中などに置いて帰ることを認めている。 

引用:文部科学省「児童生徒の携帯品に関わる配慮について」

子どもも親も「重い」と感じていた現実

フットマーク株式会社が2022年に小学生を対象に実施した調査では、以下のことが明らかになっています。

  • 小学生の93.2%がランドセルを重いと感じている 
  • 3.5人に1人が通学時に肩・腰・背中の痛みを訴えた経験あり 
  • 置き勉を禁止されている小学生は41.7%
  • 体に負担の少ないカバンへの買い替えを検討している親は64.5%

詳しい調査結果はこちら→【出典:フットマーク株式会社

ほとんどの子ども達がランドセルを重いと感じ、実際に体への不調が出てしまっている子ども達も少なくないことが調査からもわかります。

子どもも親もランドセルの重さを何とかしたいと感じているのに、「置き勉」が進まない教育現場。

体への負担が少ない通学かばんへのニーズが高まるのは自然な流れです。

らん
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子育て世代の教員(5名ほど)に聞いたところ、我が子のランドセルは体への負担を第一に考えて選んでいる傾向がありました

小学校で見た7つの場面:ランドセルが重すぎる子どもたちのリアルな姿 

ランドセル症候群で姿勢の崩れやケガの危険がある子どもたちの7つの場面

ランドセル症候群を防ぐための適正な総重量(ランドセル+荷物)は「子どもの体重の約10%以内」が目安。

小学1年生の平均体重(約21kg)の場合、総重量は2.1kg〜2.5kg程度が理想と言われています。

らん
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実際は、平均して3.5kg〜4kgを超えることも多く、肩こりや腰痛、姿勢の悪化を引き起こす原因となりえます

小学校で見た、子どもたちのリアルな姿

  • ランドセルを机にドサッと置く1年生
  • 教室の入り口の床で、ランドセルなどの荷物を下ろして座り込む1年生
  • ランドセルの重さで後ろに引っ張られそうになり、猫背で歩く姿
  • 階段でランドセルを両手で持つ危ない姿
  • 階段の前を歩くお友達のランドセルを持ち上げてあげる姿
  • 「肩が痛い」とつぶやく姿や「重いから背負いたくない!」と訴える姿
  • ランドセルに荷物が入りきらず置き忘れられた手提げ袋

以上のことは、低学年(1、2年生)に多く見られる姿でした。

体が作られる1年生のうちから荷物の重さに対処していく必要があります。学年が上がるにつれて荷物はどんどん増えます。

さらにタブレット学習が導入された今、子ども達の荷物への重さはよりいっそう配慮されていかなければなりません。

月・金曜日だけじゃない‼荷物が重い4つの理由

小学生の荷物が重いのは、教科書以外の荷物も持ち帰る(上履き、体操服、かっぽう着など)月曜日と金曜日だけではありません。

1年を通して子ども達の荷物は重い傾向があり、一時的な対策だけでは追いつかなくなっています。

  1. 教科書の大判化やページ数の増加
  2. タブレットの導入
  3. 置き勉の対応への遅れ
  4. 日本の気温の上昇

現代の子ども達の荷物が重くなっている要因はさまざまです。

理由1.教科書の大判化やページ数の増加

教科書は、年々イラストや図解が増えてわかりやすくなっています。
とくに1年生は黒板の字を書き写すのが難しいので、教科書に直接書き込めるタイプが増えてきています。

子どもたちの学習のしやすさが向上している一方、サイズは大きくページ数が増えて、重さは増加傾向にあります。

令和6年の文部科学省の資料によると、約50年前と比べて、小学校の教科書のページ数は約3倍、中学校では約1.5倍に増加しています。
さらにページ数だけでなく、教科書のサイズ自体も大きくなっています。かつてはA5サイズ(今でいう文庫本より少し大きいサイズ)が主流でしたが、現在はB5・AB版・A4と大判化が進んでいます。授業時間は昔より減っているにもかかわらず、教科書はどんどん重くなっています。

教科書について詳しくはこちら→【出典:文部科学省 デジタル教科書をめぐる状況について

理由2. タブレットの導入

2019年に国が打ち出した「GIGAスクール構想」により、全国の小中学生に1人1台のタブレット端末が配備されました。

今や全国ほぼすべての公立小中学校にタブレットが導入され、授業でのICT活用が急速に広がっています。

タブレットは自宅への持ち帰り学習にも活用されるようになってきています。

持ち帰りの頻度は市町村や学校によってかなり差があるのが現状で、毎日持ち帰りの学校もあります。

らん
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タブレットは、カバーやキーボードを含めると1kg前後になることも

理由3.置き勉の対応への遅れ 

文部科学省が「置き勉」を推進しているにもかかわらず、先述のフットマーク株式会社の調査では、置き勉を禁止されている小学生は41.7%にのぼることも明らかになっています。

元教員目線で、原因についてまとめました。

置き勉を認めると…

準備の習慣が身に付かない
 ランドセルに学習道具をそろえる作業を通じて、準備や管理の習慣を身に付けさせたいという教育的な意図があります

・予習、復習ができない
家庭学習の質を下げたくないという学校側の思いがあります

持ち物の紛失・盗難・いたずらのリスクがある
教室に置いたままにした教科書や道具が、紛失・盗難・いたずらの対象になる可能性があります

大切なプリントや手紙を忘れるリスクがある
宿題のプリントやドリル、保護者への大切なお手紙を教室に置き忘れてしまう可能性が高まります

認めるにしても、全クラス・全学年で統一する必要がある 
さまざまな考え方の教員がいます。一部のクラスだけという不公平感は、保護者からのクレームにもつながります

学校側にも事情があるのは事実ですが、ルールの見直しが必要な時代になっていることも確かです。

理由4. 日本の気温の上昇

熱中症対策として、子どもが学校に水筒を持参することは今や常識になっています。

水分補給の量が増えるにつれて水筒も大型化して、1本では足りず2本持ちになるケースもあります。

水筒を持ち歩いていたことで、思わぬ事故が起こっています。

事故防止のためにも、なるべく水筒はランドセルに入れておきたいですね。

残暑が厳しく、まだまだ水分補給が欠かせない時期が続いています。出掛ける際、子どもが水筒を持ち歩く機会も多いと思いますが、転倒した際に首や肩に掛けていた水筒がお腹に当たり、内臓を損傷する等といった思わぬ事故が発生しています。

消費者庁・国民生活センターには、水筒を持ち歩く子どもの転倒事故についての情報が、医療機関(※1)から寄せられています。

引用:消費者庁「子ども安全メールVol.635」

らん
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水筒は中身を入れると500mlで約700g近くに

1L以上の大容量タイプや2本持ちになれば、水筒だけで1kg以上の重さになることもあります

「ランドセル症候群」チェックリスト

普段の荷物の重さが積み重なって現れる、ランドセル症候群。「うちの子は大丈夫」と思っていても、気づかないうちに症状が出ているケースは少なくありません。

以下のチェックリストで確認してみてください!

チェックリスト①:身体的なサイン▼

□肩こり、腰痛、首や背中の痛みを訴える 

□歩く姿勢が前かがみになっている

□猫背等、姿勢が悪くなってきた

□頭痛が増えた 

チェックリスト②:精神的なサイン▼

□通学を嫌がるようになった

□学校から帰るとぐったりしている 

□登校前に体の不調を訴える

らん
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1つでも当てはまるものがあれば、今から紹介する対策を試してみてください

今日からできる!「ランドセル症候群」を防ぐ3つの対策

ランドセル症候群のサインに気づくために、今日からできることを紹介します。

1. 帰宅後にランドセルの重さを量る 
2. 担任の先生に置き勉を相談する
3. ランドセル自体を見直す

とくに「1.帰宅後にランドセルの重さを量る」は体重計とランドセルがあればできるので、すぐに試してほしいです。

対策1.帰宅後にランドセルの重さを量る

体重計でランドセルの総重量を計測している様子

「重そうだな」と感じていても、実際に何キロあるのか把握している親御さんは意外と少ないものです。まずはお子さんのランドセルを実際に量ってみることをおすすめします。

実際に、筆者が息子(小学校1年生)の背負う重さを量ってみたところ、理想の総重量2.1kg〜2.5kgを超えていました。

  • 荷物の少ない火曜日→2.9㎏
  • 荷物の多い金曜日→3.7㎏

理想の総重量を超えた、我が家の重さへの対策についてくわしくはこちら▼

【1-4】【ランドセル症候群】1年生の重いランドセルの現状と、重さへの対策について解説(準備中)

対策2.担任の先生に置き勉を相談する

学校全体での置き勉解禁が難しくても、担任の先生に個別に相談することで、お子さんだけでも一部の教材を置いて帰れるようになるケースがあります。

学校全体のルールを1人の担任が簡単に変えることはできないので、相談の仕方が大切になります。

相談するときのポイント

責める言い方をしない 
「なぜ置き勉を禁止しているんですか?」という聞き方はNG
先生も学校のルールに従っているだけなので、責めるような言い方は関係を悪化させるだけ

子どもの状況を具体的に伝える 
「最近、肩が痛いと言っていて…」など、お子さんの具体的な状況を伝えると先生も動きやすくなります。

「どうすれば置き勉できるか」を一緒に考えるスタンスで 
強く要求するより相談するスタンスの方が、先生も前向きに動いてくれやすいです
「紛失や忘れ物は自己責任であることは承知している」と伝えておくと、教員側も前向きに動きやすくなります

らん
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先生も保護者も、目指すゴールは同じ「子どもの健康」です

責めるのではなく一緒に考えるスタンスで相談してみてください

対策3. ランドセル自体を見直す

体への負担を減らすには、軽さ以外の要素も重要です。 

体に負担の少ないランドセルを選ぶポイントは4つ

本体の重さ
重すぎず、丈夫なものを
素材によって重さが大きく異なります

肩ベルトの形状と調節機能
肩ベルトや背当ての素材・形・通気性や、体に合わせて細かく調節できるか

体へのフィット感
背中にしっかりフィットすると、重さが肩・背中・腰に分散されて体感的に軽く感じられます
リュックのように胸ベルトや腰バンドが付いているとフィット感アップ! 

④収納力・サイズ 
荷物が入りきらないと手荷物が増えます
タブレットやA4フラットファイルが入るサイズかどうかも確認しましょう

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ポイントについてくわしくは以下の記事を参考にしてください

フィット感や重さの分散についての記事はこちら▼

【1-5】「ランドセルは軽いほどいいの?」ポイントは「本体の重さ」ではなく「体感重量」(準備中)

ランドセルに必要な収納力や、大きさの注意点についてはこちら▼

【1-6】【ランドセルの大きさに注意】教室の棚に入らない!?「使い勝手」と「収納力」の意外な盲点(準備中)

まとめ

ランドセルを背負って元気に笑顔で通学する子どもたち

今回はランドセル症候群について、原因から対策まで徹底解説しました。

元教員として断言できるのは、「ランドセルが重い」というわが子の声は甘えではなく、体からの本物のSOSだということです。

子どもたちの荷物が重い4つの原因

  1. 教科書の大きさやページ数の増加
  2. タブレットの導入
  3. 置き勉の対応への遅れ
  4. 日本の気温の上昇

今日からできる3つの対策

  1. 帰宅後にランドセルの重さを量る 
  2. 担任の先生に置き勉を相談する
  3. ランドセル自体を見直す

早めに気づいて対策することが、子どもの6年間の健康を守ることにつながります。

すでにランドセルを使っている方へ ▼

帰宅したわが子のランドセルの重さを量ってみてください
子どもたちが背負う重さを実感することが最初の1歩です

これからランドセルを選ぶラン活中の方へ ▼

軽さだけでなく、体へのフィット感・肩ベルトの調節機能・収納力まで考えて選ぶことをおすすめします
我が家では、次世代ランドセル『エルゴランセル』を購入しました!

らん
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ランドセル選びでの失敗ポイントや、登山リュックの技術を取り入れた『エルゴランセル』がおすすめな理由についてまとめた記事があります!ぜひ参考にしてください

2-1「ランドセル選びで失敗したくない!」ランドセル選びの失敗ポイント9つと、エルゴランセルが「正解」な理由(執筆中)


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